“すぐに使える”血統知識を伝授する、栗山求氏の簡単血統塾。真夏の大一番・札幌記念を制したのは凱旋門賞を見据えるブラストワンピース。鮮やかな復活劇となりましたが、栗山先生はヨーロッパの舞台でも「期待」とのジャッジ。そのブラストワンピースの解説をはじめ、ここまでの新種牡馬の評価など、盛りだくさんでお送りします。

■先週の血統ピックアップ


・8/18 札幌記念(GII・札幌・芝2000m)
 好位を追走したブラストワンピースが直線で馬群を割って抜け出しました。昨年の有馬記念を勝ったあと、今シーズンは大阪杯6着、目黒記念8着と2連敗。馬そのものの評価が怪しくなるなかで、今回の勝利は鮮やかな復権を印象づけるものでした。

 父ハービンジャーは英国産馬。現役時代はキングジョージ6世&クイーンエリザベスSを11馬身差で圧勝するなど5つの重賞を制覇した名馬でした。先日、イギリスのGIナッソーSを勝ったディアドラの父でもあります。ディアドラの勝利は父の母国で挙げたもので、ヨーロッパの芝に対する高い適性を感じさせました。

 もしハービンジャーが日本に輸入されず、そのままヨーロッパに残って種牡馬となっていたら、トップクラスの種牡馬になっていた可能性もあるでしょう。したがって、ハービンジャー産駒の欧州遠征は要注目です。フランスの凱旋門賞に挑むブラストワンピースにも大きな期待が掛けられます。

・8/18 新馬戦(札幌・芝1800m)
 3番手を追走したホウオウピースフルが4コーナーで逃げ馬を交わして押し切りました。最初の1000mが66秒1。中距離の新馬戦にありがちな超スローペースで、ラスト2ハロンが11秒3ー11秒3。ラストの決め手勝負で一枚上の脚を使いました。同日のメインレース札幌記念を勝ったツルマルワンピースの半妹で、父はオルフェーヴル。母ツルマルワンピースは現役時代に阪神ジュベナイルフィリーズで5着となり、繁殖牝馬として大成功しています。

 トライマイベストとエルグランセニョールという全兄弟の血を父方の4代目、母方の3代目に持っています。この鮮やかな全兄弟クロス(4×3)が配合的な強調材料であり、繁殖牝馬として成功した大きな理由ではないかと思われます。オルフェーヴル産駒は気性的に決しておとなしいタイプではありません。しかし、ホウオウピースフルはパドックに姿を現したときから落ち着き払っており、初めてのレースに平常心を保てない出走馬が少なくないなか、ひときわ目立っていました。今週の新潟2歳Sで人気を集めるであろうモーベットと並ぶ、現2歳のオルフェーヴル牝馬の二枚看板に育ちそうです。・・・

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