2019年04月29日(月) 19時00分
【杉原誠人騎手】藤沢和雄調教師の愛弟子が区切りの“100勝” これまでの感謝と新たな決意
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▲4月21日にJRA通算100勝を達成した杉原誠人騎手 (C)netkeiba.com
4月21日の福島10Rをコンダクトレスで勝ち、JRA通算100勝を達成した杉原誠人騎手(26)。2011年のデビューから、9年目での出来事だった。ひとつの節目をむかえた率直な感想や、周囲のサポートへの感謝、そして家族に対する思い…。現在の心境を赤裸々に語ってもらった。
(取材・文=藤井真俊)
(取材・文=藤井真俊)
治療で休業中の先輩、北村宏司騎手からの言葉
――まずは節目の勝利、おめでとうございます。
杉原 ありがとうございます。
――当日はメインレースのビリーバー(1番人気)を始め、複数の有力馬が控えていましたね。勝利の予感など、特別な気持ちはありましたか?
杉原 いえいえ。3月23日にリーチ(99勝)をかけてからは、毎週のように“決めたい”と思ってましたよ。いい馬に乗せて頂いていたので、できれば福島開催のうちに…とも思っていました。ただし焦りは禁物ですから「冷静に、冷静に」と自分には言い聞かせていました。
――記録達成となったのはコンダクトレス。去年の秋から4戦連続のコンビでしたね。
杉原 開幕週(4月7日)にも乗せてもらっていて、できればその時に決めたかったのですが、4角でゴチャつく場面もあって3着…。だから今回こそはスムーズに、リズムよく運ばせたいと思っていたんです。牝馬の中1週でしたけど、馬体減もなくて、陣営がうまく調整してくれました。小島茂之厩舎の皆さんにも感謝です。
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▲記念の勝利となった、2019年4月21日桑折特別・コンダクトレス (C)netkeiba.com
――そういえばGI初騎乗も小島厩舎でしたね。
杉原 はい。プロレタリアトでエリザベス女王杯(2014)に乗せて頂きました。だからどんな1勝でもうれしいものですけど、今回の節目の勝利が小島厩舎のコンダクトレスというのは、特別うれしい気持ちでしたね。
――ゴールの瞬間はどんな気持ちでしたか?
杉原 ホッとした気持ちですね。これで周りから色々と言われずに済むって(笑)。
――色々と言われていたんですか(笑)。
杉原 はい。99勝はわりと最近でしたが、98勝は去年の秋だったんです。その頃から藤沢(和雄)先生や厩舎スタッフから、「早くしろ」って言われてたんで…(笑)。そうそう(兄弟子の北村)宏司さんにも言われちゃいましたよ。
――いま怪我の治療で休業中の北村さんに?
杉原 ええ。怪我の様子が気になって連絡したら、「俺の心配よりも、早く100勝を達成しろ」と返ってきました(笑)。達成後には「200勝、300勝を目指して頑張れ」とも言っていただきました。
――優しい先輩ですね。
杉原 本当に尊敬しています。ジョッキーとしての技術はもちろん、競馬に対する向き合い方、周囲の人間との接し方…。見習う部分しかありません。まだまだ遠い存在ですけど、少しでも近づければと思います。
結婚がきっかけに…様々な行動を起こせた
――100勝の中で最も印象に残っている1勝は?
杉原 スターオブペルシャで勝った去年4月の新潟・谷川岳Sですね。
――どうしてですか?
杉原 あの馬には3歳の春に500万下で2回乗せて頂いたのですが、ともに2着で勝てなかったんです。しかし内田(博幸)さんに乗り替わって500万下を勝つと、その後オープンまで出世して…。で、その500万下以来、約2年ぶりにコンビを組んだのが、谷川岳Sだったんです。
今は厩舎所属と言っても、そう簡単に乗れる時代ではありません。そんな中、自厩舎でメインレースを、それも以前勝てなかった馬で結果を出せたことはうれしかったですね。
――2015〜2017年の年間勝利数はひと桁が続いていましたが、昨年は久々にふた桁勝利。何かきっかけがあったのでしょうか?
杉原 やはり家族の存在ですかね。一昨年に結婚して、昨年は子供が生まれて…。独身のうちはそれこそ、自分の飲み代だけ稼げれば良かったわけですけど(笑)、今は家族に支えてもらって、それに伴う責任も生まれました。
――具体的にはどのような行動を起こしたのですか?
杉原 まずは藤沢先生や先輩方など、色んな人に相談をしました。そういう中で、ミルファームの清水社長など、たくさんの方々にかわいがって頂けるようになって…。そうやって騎乗機会が増える中で、また新しい調教師の先生と知り合えたり。本当に皆さんのおかげです。
――ほかには?
杉原 体も鍛え直しました。宏司さんにトレーナーの方を紹介していただき、馬の乗り方や、ジョッキーとしての体作りなど、今も勉強させてもらっています。それもこれも、きっかけは家族ですよね。独身だったらここまでの行動は起こしていなかったと思うし、まだ100勝もできていなかったと思います。
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▲「独身だったらここまでの行動は起こしていなかったかもしれない」と杉原騎手 (C)netkeiba.com
――そう言えばお子さんのことは相変わらずかわいいですか? 去年の夏ごろは、色んな人に写真を見せびらかしていましたね(笑)。
杉原 当たり前じゃないですか! むしろあの頃よりもかわいさは増してますよ。ホラ、また写真を見せびらかすんで見てくださいよ(笑)。ね、かわいいでしょ?
――た、確かに…。では最後に今後の目標を聞かせてください。
杉原 まあ欲を言えば重賞だったり、GIみたいな大きなレースを勝ってみたいですよね。ただそういうチャンスは突然やってくるものではないと思うので、やはりコツコツ頑張っていきたいです。まずは次の101勝、102勝を目指して。
そして勝てないレースの中でも、関係者の皆さんに対する感謝の気持ちを忘れず、少しでも期待に沿えるような騎乗をしていきたい。そう思っています。