哲三の眼

▲2歳王者ダノンプレミアムが9ヶ月半ぶりの復帰戦V 川田騎手はリーディング独走中!(撮影:高橋正和)


GI馬5頭と豪華メンバーの金鯱賞は、昨年のダービー以来となったダノンプレミアムが快勝しました。一見ダノンプレミアムはゲートから操縦性、レースセンスも高く“これぞ王者の走り”といった競馬でしたが、それらは巧みに馬をコントロールする川田騎手の技術に支えられてのもの。9ヶ月半ぶりの実戦で気負う面もあるなか、陣営とうまく連携しながら馬に優しく繊細に、そしてしたたかに。そんな彼のお手本的な騎乗を哲三氏が徹底的に解説します。(構成:赤見千尋)

馬とレースをそつなく支配する死角のない騎乗


 日曜日に行われた金鯱賞は、休み明けだったダノンプレミアムが強い競馬で勝利。川田(将雅)君の騎乗ぶりは、いつもながら上手いなと思いました。走る馬で、レースセンスの高い馬だから勝ったというよりも、川田将雅というジョッキーが、そういう風に仕向けているなという印象。さらに、厩舎陣営、牧場から上手く連携して調整出来ているからこそ、休み明けでも高いパフォーマンスが出せたのではないかと思います。

■3月10日 中京11R(1番:ダノンプレミアム)

 1枠1番というのは、勝った朝日杯フューチュリティSでも同じようなパターンだったと思いますが、今回は約9か月半ぶりの休み明けで、気負っている部分もあったと思うんです。その中で、川田君だからできる収め方だなと感じるところが随所にありました。

 他の馬を使った抑え方、枠を利用したポジショニングというのが、パターン的にはやりやすかったのかなという気もするけれど、上手く収めていく、(見えない)箱の中に入れて行くというのがさすがだなと。1コーナーに向けて、どういう形でどう収めていけばいいかというところを思い描いた通りに再現できたのではないでしょうか。

 1コーナーに入る前と入ってからと、馬が減速する時に騎手の重心が下がりすぎず、前に行き過ぎず、しっかり馬の中心で支えてあげられている。馬をコントロールする技術もすごく上手いなと。

 後はある程度捌ければ勝てるかなと思いながら見ていましたが、3コーナーの頂点を越えてからのコース取りがまた上手かった。内ラチぴったりで進むのではなく、20cm〜30cmくらい開けて回っていたんです。

 なぜそうするかと言えば、4コーナーから直線で抜け出す時の進路確保のため。中京はコーナーを回りやすい分、外から蓋をされるリスクがあるんです。3,4コーナーの頂点辺りから外からプレッシャーを掛けられて、なかなか開けてもらえない…という時に、内ラチにべったりつけていたらただ外から閉められるだけ。でも内ラチを若干開けて走っていれば、コーナーを使って内に入って、外でプレッシャーを掛けている馬は外を回るわけで、その遠心力を使ってコーナーの立ち上がりから抜け出しやすくする、というのがジョッキーの技術です・・・

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