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▲阪神JFで姉妹制覇を狙うシェーングランツと藤沢調教師


2週連続で、2歳チャンピオン決定戦がつづく師走の競馬。両レースに有力馬を送り込むのが、関東リーディング(11/28現在)の藤沢和雄調教師だ。阪神JFには、アルテミスSを勝利したシェーングランツ。阪神JF、オークスを勝っているソウルスターリングを姉に持つ彼女が、姉妹制覇へ挑む。さらに朝日杯FSには、2戦2勝のグランアレグリアが登場。牡馬相手にどんな競馬を見せるのか、2頭の手応えを指揮官が語る。

(文=編集部)


世界的な良血、血統的な裏付けがあるのは大きい


――アルテミスSでは大外一気の鮮やかなパフォーマンスを発揮しました。改めて振り返ってください。

藤沢 正直なところ、1600mのペースだと流れに乗っていけるかどうかを心配していたんだけどね。見ての通り、いい競馬だったと思いますよ。

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▲アルテミスS、藤沢調教師も「いい競馬だったと思います」と (撮影:下野雄規)


――スタートで出遅れて後方からの競馬になりましたが、この馬の上がり3ハロンは33秒8。エンジンが掛かってからの加速が光りました。

藤沢 そうだね。ペースが速く流れてくれたこともあるけど、いい脚を使ってくれた。ユタカ(武豊騎手)も『直線で外に出したらフォームが変わった』と言っていたし、ああいう脚を使えるのはいいよね。たいしたものだと思いました。

――当初は1週前のアイビーSを予定していましたが…。

藤沢 そうそう。本来、もう少し長い距離のほうがいいんじゃないかと思っていたからね。札幌の2戦目で勝ったとき、クリストフ(ルメール騎手)も『オークス向き』と言っていたぐらい。穏やかな子でスタートも速くないし、1600mの流れは忙しいんじゃないかと思うところがあった。実際、そういう感じだったしね。でもまあ、ストライドが大きいし、広い東京競馬場で直線が長いコースは合うと思っていた。その通りだったね。よかったです。

――お姉さんのソウルスターリング(父Frankel)と比較して似ているところはありますか?

藤沢 これだけの血統だし、もともと素晴らしい馬だったからね。そこはソウルスターリングもシェーングランツも一緒だけど、別々の種馬でタイプが違います。

――具体的な違いは?

藤沢 シェーングランツはディープインパクト産駒で上品な感じがしていたし、より日本の軽い馬場に向くんじゃないかと思っていた。それとソウルスターリングは傾いて走るようなところがあるし、いろいろと難しい部分もあったよね。シェーングランツは真っ直ぐに走るのがいいし、無駄に張り切り過ぎないから調教も楽。この先、まだまだ良くなると思います。

――この中間も在厩で調整しています。5月に入厩してから一度も放牧に出していませんが、馬の雰囲気など何か変わってきたところはありますか?

藤沢 順調だよ。デビュー戦(5着)のときは周りに気を遣っていたし、まだまだ子供っぽかったけどね。慎重な子で自分から進んでいかないようなところがあるんだけど、だいぶ普段の調教でも前向きに走るようになってきたし、随分と良くなっていると思います。

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▲GIに向け調整をつづけるシェーングランツ


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▲シェーングランツの状態をチェックする藤沢調教師


――いい形で阪神JFに向かうことになりました。勝てばソウルスターリングとの姉妹制覇になりますが、手応えのほどは?

藤沢 アルテミスSの結果次第で阪神JFに行くことを考えていたし、そこはユタカの頭にもあったんじゃないかな。あの競馬を見ると阪神の外回りコースもいいと思う。なんたって世界的な良血だからね。やっぱり、血統的な裏付けがあるのは大きいと思う。勿論、期待しています。

グランアレグリアは桁違いに素晴らしい馬


――もう1頭の注目馬、2戦2勝のグランアレグリアは牡牝混合戦の朝日杯FSに向かうことになりました。

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▲サウジアラビアRCを制したグランアレグリア (撮影:下野雄規)


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▲牡馬に挑むグランアレグリア、本番に向け入念な調整がつづく


藤沢 阪神JFの日はクリストフ(ルメール騎手)が香港に行くし、続けて乗ってもらいたいということで朝日杯を使うことにした。ちょっと敏感なところがあるし、乗り慣れているジョッキーに乗ってもらったほうがいい。こちらも見ての通り、桁違いに素晴らしい馬だからね。どっちも期待しています。

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▲主戦のルメール騎手と会話する藤沢調教師


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▲2頭への期待を語る藤沢調教師は、笑顔だった