「今日から使える!」をキーワードにスタートした栗山求氏の『簡単血統塾』の第2回。さっそく初回、「今週の血統注目馬は?」で取り上げたスウィングビートが先週の三峰山特別を勝利しました!今週は萩Sで2勝目を挙げたサートゥルナーリアの解説や、先週は芝レースについてだった「ハンデ戦と種牡馬」のダート編の講義など、引き続き「使える!」内容でお送りいたします。

■先週の血統ピックアップ


・10/27 萩S(2歳OP・京都・芝1800m)
 サートゥルナーリアがほとんど馬なりに近い勝利。新馬戦ならともかくオープンクラスでこの勝ちっぷりはケタが違います。近年、産駒から3頭のG1ホースを産んだ繁殖牝馬は、ダンシングキイ(ダンスパートナー、ダンスインザダーク、ダンスインザムード)とハルーワスウィート(ヴィルシーナ、シュヴァルグラン、ヴィブロス)の2頭。サートゥルナーリアの母シーザリオは、すでにエピファネイア(ジャパンC、菊花賞)とリオンディーズ(朝日杯フューチュリティS)を出してリーチを掛けています。いずれサートゥルナーリアがG1を勝ち、上記のG1トリプルチームの仲間入りを果たすだろう、と強く予感させるパフォーマンスでした。

 シーザリオはオークスの勝ち馬で、半兄エピファネイアは菊花賞を勝っています。スタミナ面には不安のない一族です。今回の勝ちっぷりを見ると、父がスピードタイプのロードカナロアでも、アーモンドアイのように2400mまではこなせそうです。

・10/28 新馬戦(東京・芝1800m)
 先週新馬戦を勝った9頭のなかではルヴォルグ(父ディープインパクト)が目に付きました。好位追走から後続を4馬身ちぎったレースぶりは鮮やかです。母の父Kitten's Joyは2013年に米リーディングサイアーとなった名種牡馬で、ダート競馬が主流のアメリカでは珍しく芝中距離向きの血統。日本ではジャンダルム(デイリー杯2歳S)やダッシングブレイズ(エプソムC)の父として知られています。

 ディープインパクト産駒は馬体の小ささがネックとなることがありますが、本馬は510kgと大柄で、ダイナミックなフットワークは大物感にあふれています。スタミナと底力に恵まれた血統なので、これから距離が延び、クラスが上がっても問題ないでしょう。クラシック戦線でも十分やれる器です。

■今週の血統注目馬は?

・11/3 河北新報杯(1000万下・福島・芝1200m)
 トロワゼトワルの父ロードカナロアの産駒は昨年6月のデビュー以来、先週終了時点で芝で97勝(ダートは23勝)。今週中に100勝に到達する可能性があります。芝100勝の種牡馬最速記録はディープインパクトが持つ「2年目の8月13日」。ロードカナロアはこれに次ぐ速さで来ているので優秀です。

 2位タイはサンデーサイレンスとダイワメジャーの「2年目の12月9日」で、これを抜くのは確実でしょう。河北新報杯が行われる福島芝1200mはロードカナロア産駒が得意とするコースで、これまで連対率29.4%、複勝率41.2%。5着と敗れた8月のHBC賞以来のレースとなりますが、乗り込み量は十分足りており、トロワゼトワルもいきなり勝ち負けになるはずです。

■今週の血統Tips

 先週は芝のハンデ戦に強い血統ということで、ルーラーシップ、ハービンジャー、アドマイヤムーンの3頭を挙げました。

 今週はダート。過去10年間、ダートで数々のタイトルを獲得してきたキングカメハメハとゴールドアリュールは、ダートのハンデ戦の連対率がそれぞれ18.1%、14.3%(2010年以降)。ダート戦全体の連対率が19.3%、17.5%なので、ハンデ戦に替わることで数値がダウンしていることが分かります。芝におけるディープインパクトと同じように、トップクラスの優れた実績を残している種牡馬は、ダートにおいてもハンデ戦の成績が芳しくないという傾向が見られます。

 ダートのハンデ戦に強い種牡馬の御三家は、シニスターミニスター、ダイワメジャー、スペシャルウィーク。連対率はそれぞれ23.9%、21.1%、19.8%です。この3頭のダート全体の連対率は18.1%、16.3%、14.6%なので、ハンデ戦に替わることで連対率が大きく上昇していることが分かります。

 今週の土曜日、京都10Rに組まれている貴船Sには、シニスターミニスター産駒とダイワメジャー産駒が出走を予定しています。狙ってみてもおもしろいかもしれません。