今週末はダートの祭典JBC競走!今年の日本ダービーで行った企画「ゆる―い出馬表」が帰ってきました!血統や競走成績ではなく、ここでは性格やくせなどをご紹介。出走馬たちの知られざる素顔に迫ります。予想に役立つ情報はほぼありませんので、ゆる―い気持ちでご覧ください。(取材=栗東/地方・大恵陽子、美浦・佐々木祥恵、南関東・高橋華代子)

JBCクラシック編/ノンコノユメの良き先輩はあの馬?


アスカノロマン
(牡7歳/栗東・川村禎彦厩舎)

アスカノロマン

佐藤剛厩務員
「ロマン」って呼んでいます。2歳の夏前からだから、もう5年半くらいの付き合いになるかなぁ。はじめは大人しかったんですが、重賞を勝った頃は暴れ出したら手をつけられないほどの元気良さがありました。うちの厩舎は午後運動をするのですが、1人では曳き運動ができないほどでしたね。今はまた落ち着きが出てきましたよ。好き嫌いはなくて何でも食べるんですが、だいたいの馬が口に入れる時に「これ、なんだ?」って吟味するんですが、ロマンは食べてから「なんじゃこれ」ってなるんです(笑)。

アポロケンタッキー
(牡6歳/栗東・山内研二厩舎)

アポロケンタッキー

富岡潤調教助手
「アポロ」って呼んでいます。大きな馬って意外とそうなんですが、アポロも根性がないんです。威嚇しようとしているのか、不思議な部分で怒ったりしていますね。調教はいつも朝一番で、終わったら先にエサをあげているんですが、他の馬の調教に出ようとすると耳を絞って怒るんです(苦笑)。デビューの頃はここまでではなかったですが、大きくなりましたね。ゲートの中で窮屈なんじゃないかな?馬に聞いてみないと分からないけどね。状態がいいだけでは勝てないのがGIですが、勲章をまた1つ増やしてあげたいですね。

オールブラッシュ
(牡6歳/栗東・村山明厩舎)

オールブラッシュ

野田修治調教助手
「オール」って呼んでいます。ボーっとしていますが、大人しいってわけでもないですね。馬房掃除をする時は、ニンジンをあげて気を逸らしています。周りの馬が暴れるとつられてしまうので、調教はみんなと時間をズラしています。走り出すと真面目ですよ。レースでも手を抜くことなく毎回真面目に走ってくれますよね。

オメガパフューム
(牡3/栗東・安田翔伍厩舎)

オメガパフューム

安田翔伍調教師
「パフュームちゃん」って呼んでいます。構ってほしがる馬ですね。馬房の前を通る時、挨拶してくるというか「遊んで」って言ってくるので、急いでいてもつい足を止めてしまいます。うちの厩舎、人懐っこい子が多くて、端から端まで歩くのに時間がかかっちゃいます(笑)。昨年、技術調教師をしている時に社台ファームの千葉セリ上場馬がいる厩舎で研修をしていて、この馬にセリ前に乗っているんです。オーナーのご厚意や縁があって、父の厩舎で新馬勝ちした後、開業と同時にうちの厩舎に来て重賞まで勝ってくれました。

カツゲキキトキト
(牡5歳/愛知・錦見勇夫厩舎)

カツゲキキトキト

写真提供:愛知県競馬組合


錦見勇夫調教師
 2-3歳の頃に比べたら大人しくなりましたが、噛みに来たりとかヤンチャなところがまだありますね。でも、だいぶ大人になったと思いますよ。調教では物見して飛んでいくことがあるから大畑雅章騎手は嫌かもしれないけど。毎日5-6個リンゴをあげているから、好きじゃないかな。ファンから応援の声を聞くし、なんとかダートグレードを1つ勝ちたいなと思っていて2,3着まではくるけど、なかなか…。JBCはさらに一線級が揃うけど、1つでも上の着順を目指したいですね。

クリソライト
(牡8歳/栗東・音無秀孝厩舎)

クリソライト

平井裕介調教助手
 特に名前で呼ぶとかはないですね。阿吽の呼吸で、僕が来たら顔を出すし、「どいて」って言ったらどいてくれます。この馬が2歳の時、僕も待機期間を経て30歳でトレセンに入って、その時からずーっと担当しています。先輩のホッコータルマエやコパノリッキーたちがいた頃は年下で遠慮していたようにも思いますが、もう8歳。気持ちよく走れるんじゃないですかね。でも、他の馬が嫌いなんですよ。レースでもそんな感じですよね。ダートグレード競走に出走する時は全休日の月曜日に調教ができるので、それが好きです(笑)。

ケイティブレイブ
(牡5歳/栗東・杉山晴紀厩舎)

ケイティブレイブ

房野陽介調教助手
「ケイティ」って呼んでいます。基本的にやることが狂暴かな(苦笑)。でも、悪さをしようとしているわけじゃないと思うんです。馬房でも迂闊に触ると立つけど、他はいたって普通の馬かな。エサの好き嫌いもないし。

サウンドトゥルー
(セン8歳/美浦・高木登厩舎)

サウンドトゥルー

中垣功調教助手
 性格は大人しいですね。競馬とかは堂々としているように見えるのですが、意外と繊細なところがあってビビりなんです。競馬が近づいてきてピリピリしているせいもあるのかもしれないですけど、自転車が通ったり、バイクが通ったりすると、驚いてUターンしたり(笑)。でも競馬に行ってしまうと、そういうところは見せないです。

 優しい馬なので他の馬に対して耳を絞ることもないですし、誰とでも仲良くできるタイプですね。厩舎には兄弟(ルールソヴァール・セン6・OP、アナザートゥルース・セン4・1600万下)もいますけど、この子が1番大人しいと思います。1度、攻め馬で兄弟3頭揃ったことがあったのですけど、わりと仲良くしていました。

 人参は大好きですね。人参を切っている音がしたら「切ってるのかなあ?」って馬房から顔をのぞかせています。あと水を口に含ませてから飼い葉を食べるのが癖ですね。この馬の担当になって3年目に入ったところですが、すべてが思い出ですね。G1に出させてくれたのもこの子が初めてで、ましてや勝ってくれましたから。それにG1を取ってもJRA賞は受賞できないじゃないですか。それがその舞台にまで連れていってくれました。僕が知らない世界にどんどん連れていってくれて、この子には感謝しかないですね。担当し始めた2年前と、乗っている雰囲気も馬体の張りも変わらないですし、気持ちが若いですね。だから走ってくれるのかもしれません。どんな舞台でも追い込んできてくれますし、あとは展開が向いてくれればと思います。

サンライズソア
(牡4歳/栗東・河内洋厩舎)

サンライズソア

芦谷弘二調教助手
「ソア」とか「ソアくん」って呼んでいます。ビビリで神経質なところがあるので、パドックであの装備(ホライゾネットにシャドーロール)をしています。周りのことが気になってしょうがないタイプで、この間までは近くの小学校が運動会の練習をしていて、その音をずっと気にして聞いていました。ほら、今も何か気になっているのか目を丸めて聞いているでしょ!?周囲にアンテナを張っているから、野生だと肉食動物から果てしなく逃げられると思いますよ(笑)。5000mダートを圧勝するようなすごいスタミナがありますしね。パドックでは自分のペースで歩けるように1番後ろを曳いています。

シュテルングランツ
(牡7歳/浦和・小久保智厩舎)

シュテルングランツ

田中一英厩務員
 シュテルンは顔立ちがカッコいいですよね。青草が大好きでいつもムシャムシャ食べています。涼しくなって、馬も元気になってきました。厩舎では大人しくて落ち着いていますが、レースが近づくと敏感に反応してピリピリしてきます。特に、競馬場に着いてから準備をしようとすると、手入れもできないくらいに激しくなるのですが、装鞍所では大人しく鞍付けをさせてくれます。気は入るけどすぐに落ち着いてくれるので、その切り替えは早いです。周りに馬がいると勝ち気で闘争心も出てくるので、レースにいっていい方に向いていると思います。

センチュリオン
(牡6歳/美浦・田村康仁厩舎)

センチュリオン

堀江直哉調教助手
 僕はニックネームはつけてないのですが、子供が「セリオ」と呼んでいます。普段は割と大人しくて悪いことはしないんですけど、他の馬が近寄るとちょっと怒ったりはします。人に対しては何もしないですけどね。特に苦労もなく、順調にここまで来ています。普段乗っていても稽古でもスイッチが入らないタイプですね。上がりのタイムも稽古だと15秒くらいかかったり、新馬に置いていかれたりもしますので、調教では判断はできない馬だと思います(笑)。レースと調教がはっきりわかっていて、普段は余計なことはしないですね。輸送の時も、馬運車の中で何もしないでジーッとしています。今回の京都への輸送も大丈夫だと思いますね。

タガノゴールド
(牡7歳/兵庫・新子雅司厩舎)

タガノゴールド

写真提供:新子雅司調教師


武田裕次厩務員
「ゴールド」って呼んでいます。馬房では大人しくてマイペースな馬ですよ。園田競馬場にやって来た時、馬運車の中で首を振り回している姿を見たので「うるさい馬なんだろうな…」と思い、初めて乗り運動する時は腰にコルセットを巻いて手袋も真新しいものをつけて挑んだんです。そしたら、のそーっと牛みたいに歩いて、「えっ!!」って(笑)。そういうマイペースさがあるんでしょうね。嫌なものは「イヤー!」って自己主張もしますし。でも、食べ物の好き嫌いはないですよ。

テイエムジンソク
(牡6歳/栗東・木原一良厩舎)

テイエムジンソク

吉永貴幸厩務員
「ジン」って呼んでいます。前よりは大人しくなりましたね。悪いことをしようって気はないんですが、元気がよくてヤンチャって感じかな。構ってほしいタイプで、甘えているつもりなんやと思うけど、1馬力なので(笑)。無口をつける時もジャレて噛もうとしてくるんですよ。やることが分かっているので、危なくないですけどね。1頭だとボーっとしている時もありますが、人間がいるとソワソワした感じです。

ノンコノユメ
(セン6歳/美浦・加藤征弘厩舎)

ノンコノユメ

石井聖司厩務員
「ノンコ」と呼んでいます。僕には従順なんですけど、運動に出ると気が強くて周りの馬を蹴散らしたいタイプです。新馬の時からそうだったのですが、他の馬を見下している感じがありますね。サウンドトゥルーとはよく同じレースになりますけど、おっとりしていそうですし、良い先輩ですね。多分ノンコはサウンドトゥルーをわかっていると思います。こちらが曳き運動をしていて、サウンドトゥルーが乗り運動をしている時に会ったのですが、蹴るような仕草をしていましたから。去勢した後は少し大人しくなったのですけど、今年に入って以前の感じが戻ってきました。でも馬房の中では大人しいんです。

 好きな食べ物は人参ですね。飼い葉に人参を混ぜているんですけど、真っ先に食べます。人参を全部食べ切ってから、残りの飼い葉を食べます。

 この馬に関しては、思い出やエピソードがたくさんあり過ぎますね。今年の1月、根岸Sに勝った時は嬉しかったです。手応えは感じていましたので、それなりの結果は出るかなと思っていたのですが、あれだけのパフォーマンスが戻ってきてくれましたから、泣きそうになりました。でもここは泣くところではないなと…。フェブラリーSで泣こうと思っていたんです。でもフェブラリーでは泣けませんでした(笑)。嬉し過ぎてそれどころではなくなってしまって。負けても勝っても一生懸命走ってくるところが、いじらしくて可愛いですね。本当になついてくれていて、僕が行くと顔をすり寄せてくれるんですよ。

パルトネルラーフ
(牡5歳/美浦・高木登厩舎)

パルトネルラーフ

多田創太厩務員
 無駄なことはしないですし、悪さもしないですし、乗り運動をしている時はすべて言うことをききます。乗っていない時には、後ろにすごくうるさい馬がいたりして怖いことがあると立ち上がりますね。僕が小さいですし、大きい馬なので立ち上がっちゃうと…(笑)。でも乗っているとそれはないんです。

 普段はパルトと呼んでます。馬名には声を出して笑うというような意味があるみたいですけど、これだけ走ってくれて十分笑うことができています(笑)。人参が好きですね。人参を切らないで丸々あげても、アゴが強いので噛み砕きます。耳の後ろをブラシすると喜ぶので念入りにしてあげていたら、じゃれて噛みつかれて肉がちぎれたかと思いました。いまだに跡が残っています。

 この馬は他の馬を誘導していく、リーダータイプだと思います。他の馬や人間を蹴ったことも一度もないですね。ただオープンに上がって、最近トゲトゲした雰囲気を出しているんですよ(笑)。これまで担当した中で、ここまで従順な馬はいなかったですし、可愛いですね。走ってくれますし、飼い葉食いも落ちないですし、最高な馬です!

マイネルバサラ
(牡5歳/美浦・松山将樹厩舎)

マイネルバサラ

諸富建吉調教助手
「バサラ」って呼んでいます。つまらなくてすみません(笑)。性格はマイペースなB型です。担当の僕と同じです。遠くの物音が気になるのか、遠くを見つめるのが好きなんですよね。食べ物は人参が好きですね。人参を見ると目の色が変わります。特に仲良しの馬はいませんけど、どんな馬とも仲良くできるタイプです。

 新馬戦が思い出ですね。レース前、結構期待はしていたのですけど、11番人気と人気がなくて周りの評価もあまり高くなかったんですよ。それでいて結構すごい勝ち方をしてくれましたので、ここまでとは思いませんでしたが、将来いいところまで行けそうな気はしていました。


JBCスプリント編/ドンキさん”のかわいらしい一面とは?


アンサンブルライフ
(牡5歳/浦和・小久保智厩舎)

アンサンブルライフ

橋本幸逸厩務員
 この仕事を始めて40年くらい経ちましたが、こんなに出っ歯な馬は初めてです(笑)。歯が大きいし、2センチくらいは前に出ているんじゃないですかね。カイバは普通に食べていますが、ニンジンはそのままの太さでは食べないので、細かく切ってあげています。

 前に担当していた優子さん(池田優子厩務員)の話しでは、アンサン(厩舎での呼び名)がじゃれついてきた時に、優子さんのお尻に出っ歯が刺さって、しばらくは痛かったらしいです(苦笑)。牝馬が大好きで、どんなに離れていてもわかるみたいで、引き運動中にはハミがかりがよくなったり鳴き方も激しくなって、大喜びしています。まだまだ力を余している馬だと思っています。

ウインムート
(牡5歳/栗東・加用正厩舎)

ウインムート

秦野貴弘厩務員
「ウインムート」ってそのまま呼んでいます。子どもっぽいところがあって、メンタル的にも晩成型じゃないかなって思っていました。休み明けはボーっとしていて、追い切りの動きも全く違いますが、レースを使っていくとシャキッとしますね。食べることが大好きで、すごく集中して食べていますよ。

キタサンミカヅキ
(牡8歳/船橋・佐藤賢二厩舎)

キタサンミカヅキ

高橋栄喜厩務員
 普段は「ミカヅキ」ですが、時には、「ミカヅッキー」って呼んでいます。朝と夕方に馬屋の掃除をしている時に、ウウウッって(栄喜厩務員の)お尻の匂いを毎回嗅いできます(笑)。基本的にはじゃれてくるし、8歳ですが普段は甘ったれなおじいちゃんって感じで、かわいいですよ。

 ミカヅキは隣の馬房にいるお嬢(ネイルアンドリング)のことがお気に入りです。お嬢の攻め馬が終わって、洗い場から馬房に戻ってくる時は、カイバを食べることが大好きな馬なのに、食べるをやめて、お嬢が通る一番近くで待っています。ミカヅキの馬房からはちょうど洗い場が見えるので、仕事ぶりを確認しているのでしょうね。牝馬によっては全く反応を示さないのですが、お嬢のことは大好きです。

キングズガード
(牡7歳/栗東・寺島良厩舎)

キングズガード

内山淳二調教助手
「キング」って呼んでいて、この馬の性格にうまく合っていますね。気が強くてガキ大将って感じで、周りの馬が暴れると「なに暴れてんだよ」みたいに怒っています。普段は無駄な力を使わなくて大人しいですけどね。あと、むっつりスケベで、牝馬が好きなんです。大っぴらにはアプローチせずに、ムフムフ言いながら女の子を横目で見ていますね。

セイウンコウセイ
(牡5歳/美浦・上原博之厩舎)

セイウンコウセイ

矢野豊厩務員
 ハンサムな顔をしていますよね。基本的に大人しいんですけど、スイッチが入ると手がつけられなくなります。スイッチが入る原因はよくわからないですね。突然入る感じです。他の馬がそばにいないと嫌で、それでいてそばで暴れると嫌なんです。後ろでも前でも馬がいてくれれば良いのですけど、そばで暴れると一緒になって暴れちゃいます。1番最初に競馬を使った時にスイッチが入っちゃったので、暴れて怪我をするのではないかと心配しました。この頃だいぶ大人になってきて、それもだいぶ良くなりました。

 食欲はありますね。人参が好きです。飼い葉に混ぜているのですけど、まず人参から食べて、そして1回休憩ですね(笑)。

テーオーヘリオス
(牡6歳/栗東・梅田智之厩舎)

テーオーヘリオス

寺田義明調教助手
「ヘリオス兄さん」って呼んでいます。「兄さん」って付けているのは、馬が人より上に立っている感じがあるので自分の不出来への皮肉も込めています。レッツゴードンキも担当していますが(馬房も隣)、対照的に怪獣みたいなヤンチャな男の子です。馬房でチップを浴びるのと食べることを楽しみにしている馬ですね。食べ方が派手で、飲み水を馬房前にまき散らすので、びちゃびちゃにならないように馬房前にもチップを敷いています。目の下まで顔を水につけてたまに遊んでいますよ(笑)。

 能力はありながら気性の激しさが災いしていたんですが、最近落ち着きが出てきて成績も安定してきました。気性の激しさから(梅田)先生に一度「去勢してください」ってお願いしたことがあるんです。僕なんかがお願いすることじゃないし、おこがましいんですが、その時の先生の答えが「種牡馬になれなくなるからダメ」って。やっとGIの舞台に立てると思うと、感慨深いです。

ナックビーナス
(牝5歳/美浦・杉浦宏昭厩舎)

ナックビーナス

永井智樹厩務員
「ビーちゃん」と呼んでいます。性格はツンです、デレのところはないです。そしてプライドが高いですね。大人しい時と爆発した時の差が大きいです。大人しくしていたところから、突然暴れるんです。何かあったら逃げ脚も速いと思いますよ、きっと(笑)。思い出はいっぱいあるけど、これまでいろいろあり過ぎてそれが日常になっちゃってすぐには出てきませんね。でも落ち着いてきました。前は田面木さん(助手)も苦労していましたから、馬場からの帰りとか…。

 特に仲の良い馬はいないですけど、馬を見ると鳴きますね。レース後に検体に行くと、後から来た馬に「遅い」みたいに鳴いたり、函館では勝ったセイウンコウセイにも鳴いてました(笑)。自分が勝った時も鳴いていました(笑)。好きな食べ物は青草ですね。青草を積んだ車が来ると鳴いています。「永井さんの馬が1番鳴いてくれる」と、青草屋さんが喜んでくれます。体付き見たら飼い葉をガツガツ食べそうに見えるけど、時間をかけてゆっくり完食するタイプです。

ニシケンモノノフ
(牡7歳/栗東・庄野靖志厩舎)

ニシケンモノノフ

大野恭平調教助手
「ニシケン」って呼んでいますが、心の中では「モフモフ」ってたまに呼んでいます。毛がふさふさしているからピッタリな名前だなって。目がキレイで大きいですね。ニンジンが大好きで、いつも(庄野)先生がニンジン片手に厩舎の反対側から1頭ずつ様子を見ながら歩いてくるんですが、「早く欲しいー!」って遠目にじっと見つめているんです。「モノノフ」って名前なのでモモクロでも話題に上がるし、2011年3月11日生まれなので東日本大震災でも話題に上がったり、いろんなところで話をしてもらえますね。

ネロ
(牡7歳/栗東・森秀行厩舎)

ネロ

森秀行調教師
 大人しいですよ。去年のJBCスプリントは4着。ハナを取り切った方がよかったかもしれないけど、よくがんばったね。ニンジンが大好きなんですよ。

ノブワイルド
(牡6歳/浦和・小久保智厩舎)

ノブワイルド

池田優子厩務員
 ワイルドは普段から大人しくて、レースでも入れ込まないですし、真面目に一生懸命走ってくれる優等生です。ただ、引き運動をしている時にものすごいスピードで噛んでくるんですが、ガブッとではなく、皮膚をちょこっとつまむ感じに……それも痛いんです(苦笑)。

 前走のオーバルスプリントはワイルドにとって初めて重賞を勝たせて頂きましたが、小久保調教師のお話しでは、TUBEの前田亘輝オーナーも重賞初制覇だったそうです。シービスケットが好きで馬主を始められたそうで、2度の骨折など怪我から復活したワイルドとシービスケットを重ね合わせて喜ばれていたそうです。今回も相手は強くなりますが頑張りたいです。

ノボバカラ
(牡6歳/美浦・天間昭一厩舎)

ノボバカラ

水野浩調教助手
 頭が良いですね。自分がやらなければならないことがわかっています。自分の仕事がわかっているので、このコースに行ったら追い切りをすると理解しています。自分の中でルーティンみたいのがあって、それをやっているという感じです。どちらかというと人に攻撃するようなタイプではなく、人懐っこくて愛嬌を振りまくタイプです。これだけ走る馬で大人しい馬は珍しいですね。走る馬の中には怪獣みたいのもいますから(笑)。そういう馬を見ると、こんな大人しい馬でこれだけ走ってくれて最高だなと思うこともあります。

 門別競馬場で攻め馬をしたり、この馬とはいろいろな競馬場に行きました。このような馬ではないとなかなかそういう経験もできませんからね。一昨年の競馬でトモを滑らせて、トモを痛めてしまったんですよね。筋肉が落ちると治りが遅いので、放牧に出さずに在厩で目一杯手をかけて治療させてもらったんです。4か月くらい厩舎でケアをして無事に競馬まで行くことができたのですが、それも忘れられない経験になりました。この馬は他の馬と仲が良くて、馬懐っこいんです(笑)。馬房の扉をあけておくと、隣の馬と鼻をくっつけ合ったりしています。

マテラスカイ
(牡4歳/栗東・森秀行厩舎)

マテラスカイ

森秀行調教師
「マテラ」って呼んでいます。冠名だけど、うちの厩舎にはいまこの馬だけだから。普段から大人しいです。この春にはドバイ遠征をしましたが、多くの日本馬が海外に行くと落ち着くように、この馬もドバイでそうだったよ。環境が静かだしね。賞金的にJBCに出られるか心配していたけど、出走枠に入れてよかったよ。

ラブバレット
(牡7歳/岩手・菅原勲厩舎)

ラブバレット

写真提供:岩手県競馬組合


笹野美香厩務員
 癖は…ないです。悪さをすることもないので、扱いやすくて手が掛からないです。レースもいつも一生懸命ですが、調教でも真面目ですし、馬房でも落ち着いています。遠征時の環境の変化にもわりとすぐ対応できますし、本当にかしこい子です。

レッツゴードンキ
(牝6歳/栗東・梅田智之厩舎)

レッツゴードンキ

寺田義明調教助手
 昔は「ドンキちゃん」って呼んでいましたが、馬への感謝を込めて今は「ドンキさん」って呼んでいます。みんなに可愛がられている馬ですね。頭が良くて真面目でかわいくて、「才色兼備」って言葉がピッタリ。ゲート練習や馬場入りの練習、馬運車の乗り方などスムーズにこなしてくれて苦労しなかったので、こちらが当時のことを覚えていないくらいです。

 昨年末の香港遠征ではスマートレイアーと一緒に行動をしていたんですが、大好きになったんですよ。対面式の馬房で向かいにいたんですが、ちょっと陰に隠れて見えなくなるだけで探したり、離れると鳴いていましたね。他の馬にはそういうことはなくて、初めて女性らしい一面を見ました。


JBCレディスクラシック編/キレたらすごい?プリンシアコメータ


アイアンテーラー
(牝4歳/栗東・飯田雄三厩舎)

アイアンテーラー

緒方努調教助手
「アイアン」って呼んでいます。うちの厩舎にはブロンズテーラーもいるし、弟のアイキャンテーラーも入ってきたのでね。人懐っこくて気が強い女の子で、いつもレースは最後まで一生懸命走ってくれます。3走前(2018年7月14日、中京・インディアトロフィー)にレコード勝ちをして僕も自信になりましたし、馬も自信がついてきていると思います。機嫌が悪い時は耳を絞っていたり、皮膚が薄いので体を触られるのは好きじゃないですね。ニンジンが好きで、一緒にカイバに入れていると真っ先に選り分けて食べていますよ。

アンジュデジール
(牝4歳/栗東・昆貢厩舎)

アンジュデジール

佐藤秀樹調教厩務員
「アンジュ」とか「アンちゃん」って呼んでいます。すごく賢い馬ですね。こないだ大井に行く時、馬房を出てすぐの場所で馬運車が来ているのを見て、動かなくなりました。運動だけの日に馬運車を見ても反応しないし、レースの帰りはススッと乗るんですけどね。朝も、僕が来たら「エサくれー」ってすぐ鳴くのに、調教のため無口を持って近づくとそっぽを向くんです。学習能力が高いです。

クイーンマンボ
(牝4歳/栗東・中竹和也厩舎)

クイーンマンボ

上村典久調教助手
「マンボ」って呼んでいます。すごく大人しいです。自分の世界があって、触られるのは好きじゃなくて耳を絞ります。ブラシがけとかは大丈夫なんですが、必要以上にヨシヨシされるのが嫌みたいですね。環境が変わってもよく食べますよ。

サルサディオーネ
(牝4歳/栗東・羽月友彦厩舎)

サルサディオーネ

山下秀進調教助手
 以前は「サルサ」って呼んでいましたが、2歳のサルサレイアが入ってきたので、「ディオーネ」って呼んでいます。頑固で、僕が乗って坂路や逍遥馬道に行くと下り坂でビタ止まりしちゃうんです。最近はだいぶなくなりましたけどね。あと、繊細なところがあって、顔に何かかかるのが嫌なんですよね。雨とか、逍遥馬道で枯れ葉が顔にかかっても「もー!」って怒っていました。レースでは逃げると強いけど、逃げられなかった時が…。キックバックが顔にかかるのを我慢させようと練習するんですが、我慢できずに抜かそうとするんです。雨はもう大丈夫だし、キックバックもだいぶ克服していると思います。

ジュエルクイーン
(牝6歳/大井・福永敏厩舎)

ジュエルクイーン

小林大樹厩務員
 牝馬の中でもかなり大人しい方で、おとなの女の人って感じです。レースではエキサイトしますが、厩舎にいる時はおっとりしていますね。調教中、ダグは止まりそうになりますが、キャンターはさすがの走りをしてくれます。オンオフの切り替えがしっかりできる馬です。入厩した頃は馬房でほとんど動きませんでしたが、今は乾草を食べる時にこぼしていたずらをしたり、外をのんびり眺めたりと、環境にも慣れてきたなぁと思います。

 今回は担当していたセイントメモリー(2013年NARグランプリ4歳最優秀牡馬、現在は大井競馬場の誘導馬)で使っていたクリスタルの額革を、引退以来初めて使いたいと思っています。ジュエルにとっては初めてのJBCですし、名前にもピッタリなので。

ディアマルコ
(牝5歳/高知・那俄性哲厩舎)

ディアマルコ

写真提供:高知県競馬組合


神原勝志厩務員
 「マルコ」って呼んでいます。敏感で、周りが騒がしかったりするとイレ込むね。手入れをしていても体を触られるのが嫌で蹴りにきたり、自分の前を知らない人が通ると飛びつく格好をするんですよ。でも、周りが静かになると大人しくなるし、3歳の頃より落ち着きが出てきたね。あと、ニンジンあげると機嫌がいいです。各地に遠征しているけど、園田じゃ兵庫サマークイーン賞を3連覇しているから実況アナウンサーがえぇようにアナウンスしてくれるし、大井では他の厩務員が「お疲れ様です」ってわざわざ声をかけに来てくれたりね。地方を代表するような牝馬になって嬉しいね。

ビスカリア
(牝6歳/栗東・山内研二厩舎)

ビスカリア

榊原丈展厩務員
 大人しいですよ。追い切りの後は少しイライラしますが、自分でレース前だって分かっていますね。今は見たことない人がいるから、「誰や?」ってなっていますね。JBC、がんばります!

ブランシェクール
(牝5歳/大井・藤田輝信厩舎)

ブランシェクール

小黒英和厩務員
 ブランは大人しくて優しい馬です。たまにイレ込む時もあるのですが、力強くてパワーはすごいですね。慣れない人には攻撃的になるところもあるので、人見知りだと思います。馬にもあまり興味を示さないのですが、ラーゴブルーと一緒にレースに行っていた頃は仲がよさそうでした。食べ物は基本的に何でも好きで、与えたものは食べてくれます。ニンジンも好きですし、燕麦の食べ方も早くて飲み物です(笑)。投げ草も99.9%は拾い上げて食べるので、ダイソンの掃除機みたいですよ(笑)。食べてくれるのはとてもありがたいです。

プリンシアコメータ
(牝5歳/美浦・矢野英一厩舎)

プリンシアコメータ

土屋一久厩務員
 特に呼び名はないですね。性格はきついですよ。普段は大人しいですけど、キレたらすごいです。スイッチ入ったらすごいですよ。でも人に噛みついたりはしませんね。左の眼が三白眼でしょ。左右の目が違うんだよね。食欲はありますよ。何でも食べるし、人参も大きいままバリバリ食べます。以前は運動の時に大暴れしていましたけど、最近は落ち着いてきました。大人になったというか、もう5歳のばあさんだから(笑)。ジェネラーレウーノ(も、土屋厩務員が担当)に対して焼きもちとかも焼かないですよ。そういうのは気にならないんじゃないですかね。

ヤマニンアンプリメ
(牝4歳/栗東・中村均厩舎)

ヤマニンアンプリメ

田中翔調教助手
「アンちゃん」って呼んでいます。人懐っこくてかわいいですね。でも、負けん気が強くて、昔は飛び跳ねたり他の馬を蹴りに行ったりしていました。いまではそこまではなくて、普段の手入れでも大人しいんです。女の子にしてはかなり背が高くて、以前は450kgくらいだったのが一気に増えてレースでもポンポンと勝てるようになりました。カイバは僕たちスタッフがみんな帰った後に食べ始めて、完食しています。砂がかかるのがダメなので、シャワーをかけて練習しています。シャワーは平気なんですが、砂は気分がいい時以外はまだ苦手ですね。

ラインハート
(牝7歳/大井・月岡健二厩舎)

ラインハート

朴澤光厩務員
 普段の動作からは手のかかることは少ないですね。乾草は大好きで、あげている間は袋に顔を突っ込んだまま、ずっと食べています。カイバを食べる時は口を水でバチャバチャとゆすぎながら食べるので、水はよく汲み替えています。朝の調教前に厩舎に来ても起きているし、寝ているのは見たことがないので、人がいない時に寝ているのでしょうね。仲のいい馬がいるタイプでもなくて、馬房の前を通る馬に向かっていくところはよくあります。気は強いと思いますよ。調教から帰って来た時に、口元の部分を自分の腕にこすりつけてくるので、その時はよだれまみれになりますが、好きなだけやらせてあげています。

ラビットラン
(牝4歳/栗東・中竹和也厩舎)

ラビットラン

大井和浩厩務員
 マイペースな馬です。僕になついているわけでもないんですが、熟年夫婦みたいな感じで、特に会話がなくて空気みたいだけど意思疎通ができているって感じです。僕は乗ったことがないんですが、ウサギみたいな走りをするみたいです。この馬に乗った人はみんな「走り方で名前をつけたんじゃないかと思うくらい」って。バネがすごくあって、ピョンピョン走るんですよね。ウサギみたいに寂しがり屋な面もあって、調教でもみんなで行った方がいいんです。ダートでデビューして芝のローズSを勝って、またダートに戻ってきましたが、要所要所でジョッキーなど周囲の助言もあってのこと。紆余曲折を経てJBCにたどり着きました。

リエノテソーロ
(牝4歳/美浦・武井亮厩舎)

リエノテソーロ

武井亮厩舎、相馬巧調教助手
 名前であまり呼ばないですね。呼ぶとすれば、「おーいお嬢さーん」とかですかね。性格は温厚です。以前はキリキリしていましたけど、最近はだいぶ熟女になってきたかなと(笑)。キャピキャピ感がなくなってきて、だいぶ落ち着いてきました。ただレースに行ったら、イレ込みやすいですね。他の馬にはあまり興味はなさそうです。自分が1番だと思っているのかもしれませんね。

 とにかく頭が良いです。乗るにしても扱うにしても、こちらが1教えれば5、6くらいすぐ飲み込んでしまいます。どこでどう察知しているのかわからないのですが、普段と変わらない調教をしていていも競馬が近づくと、自分で体を作っていきます。飼い葉も普段はバリバリバリバリ食べていたのが、競馬が近づくにつれてゆっくり時間をかけて食べています。調教でも無駄に力んで走らないですし、今日は追い切りだろうとか、場所によってやることがだいたいわかっているみたいです。