netkeiba.comでもお馴染み、血統の達人・栗山求氏。競馬ファンに血統の面白さをもっと知ってもらいたいという思いから、今回はその栗山氏に「今日から使える!」をキーワードに血統の塾を開いてもらうことになりました。先週の競馬の振り返りや、翌週のレースの血統注目馬、さらにはまさに「今日から使える」血統Tipsまで、初心者の方にもわかりやすく、実用的な授業を目指していきます!どうぞこれからお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。

■先週の血統ピックアップ


・10/21 菊花賞(GI・京都・芝3000m)
 菊花賞の上がり3ハロンの最高記録は2016年の「34秒7」。今年はそれを大幅に更新する「34秒2」を計時しました。とくにラスト2ハロンは10秒7−11秒3。長距離戦らしくない究極の上がり勝負です。勝ったフィエールマンは瞬発力勝負に強いディープインパクト産駒。2016年の勝ち馬も同産駒サトノダイヤモンドでした。直線の長いコースで決め手比べになるとディープインパクト産駒は強さを発揮します。自身のストロングポイントを活かせる流れになったことがフィエールマンの勝因でしょう。小回りコースの福島競馬場で行われたラジオNIKKEI賞で2着と取りこぼしたように、現状では直線の長いコースのほうが良さそうですが、今後レース経験を積むにしたがって弱点は解消されていくはずです。

・10/20 新馬戦(東京・芝2000m)
 勝ったランフォザローゼスは父キングカメハメハ、母ラストグルーヴという良血。母はセレクトセールの1歳セッションで史上最高の3億7800万円(税込)で落札され、まったく仕上がっていない状態で3歳最後の新馬戦に出走したところ、楽々と勝ってしまい、管理する藤原英昭調教師が驚嘆したというエピソードがあります(競走成績は1戦1勝)。2代母は牝馬ながら年度代表馬に輝いたエアグルーヴ。エアグルーヴのファミリーから誕生したキングカメハメハ産駒といえばルーラーシップ、ドゥラメンテがいます。ニックスといえるでしょう。全兄リシュブールは少しジリっぽさがあるのですが、本馬はそうした欠点がだいぶ解消されていると感じます。とはいえ、瞬発力タイプでもないので、現状では小回りコースで先行し、位置取りの利を活かして粘り込む競馬のほうが持ち味が活きそうです。中山の葉牡丹賞やホープフルSは合っているでしょう。

■今週の血統注目馬は?

・10/28 三峰山特別(1000万下・東京・ダ1600m)
 スウィングビートの父Tapitは2014〜2016年に3連連続で米リーディングサイアーに輝いた名種牡馬。現在アメリカで最も勢いのあるエーピーインディ系に属し、基本的にはダート向きです。ただ、ラビットランがローズSを勝ち、母の父としてはグランアレグリア(サウジアラビアロイヤルC)が出ているように、芝向きの適性も秘めています。要するにダート向きにしては軽さがあるので、時計の出やすい東京ダートを得意とし、砂が深い中山ダートはイマイチの成績です。東京ダ1600mは勝率28.6%、連対率36.7%と圧倒的な成績。産駒のスウィングビートは当コース[2-0-0-1]と得意にしています。今回は昇級初戦ですがいきなりの好走が期待できます。

■今週の血統Tips

 ハンデ戦とは、レースに出走する馬が平等に勝利の機会を得られるよう、負担重量に差を付けて行う競走です。能力が高いと見なされた馬は重い斤量を、低いと見なされた馬は軽い斤量を背負うので、各馬の能力差が縮まり、馬券的には難解です。では、ハンデ戦に強い種牡馬は存在するのでしょうか? 答えは「YES」。

 芝のハンデ戦に強い種牡馬の御三家は、ルーラーシップ、ハービンジャー、アドマイヤムーン。連対率はそれぞれ40.0%、24.3%、23.9%です。この3頭の芝連対率は20.9%、17.5%、16.3%なので、ハンデ戦に替わることで連対率が大きく上昇していることが分かります。

 種牡馬ランキングのトップを争う種牡馬、たとえばディープインパクト、キングカメハメハ、ハーツクライなどは、ハンデ戦になると連対率が下がります。証明はできないのであくまでも想像ですが、実績のある種牡馬の子は強いと見なされ、本来背負うべき斤量よりも若干重めのハンデとなるのかもしれません。来週はダート編です。